張り込み製品の場合、技術の見せ場というのは完成してしまうと見えないところが多いので説明が難しいなといつも思います。今回はコンパクトラウンジをテーマに、張り込みの立体的な表情を活かすことに挑戦しています。木部と張り地のせめぎ合いがちょうど良く治まった椅子になりました。フラット脚のLとちょい揺れ脚のRが選べます。
サイズ w 595 d 645 h 750 sh 370
素材  ウォールナット ナラ ファブリック張り込み
仕様  オイル塗装

Quitoはソファを中心として開発をしている園田椅子製作所のブランド事業部です。担当の小澤さんにはじめてお会いしたときは「デザイナーは信用できない」と言われましたが、開発を重ねるごとに、いいパートナーとなりました。現在はアイデアマンの二代目園田社長を筆頭に、すこし変化球の効いた座具の開発に取り組んでいます。
市場に無い新しい価値をめざし、意見交換が続く開発を楽しんでいます。

http://quitoshop.com

園田椅子製作所との開発は、じっくり討議! 
ではなく、直感とタイミングが大事です。

デザインを暖めて、暖めて、頃合いを見計らって「いかが?」と提案します。
今回の開発は、提案したら即答で進めることになりましたので読み通りと喜んでいましたが、それからが長かった。

次のワークショップまでに準備しておくね??。
ワークショップ数日前に「間に合わない。」
その次には間に合わせるよ!!!

数日前に「忙しすぎて現場が悲鳴あげているから無理。」
待つこと3回目にして、試作確認。おお、いい出来。サイズ感も狙い通り。
そして、展示会の販促物の撮影前日ワークショップに出かけてみると、「今作っている!」(笑)
え?と、撮影明日ですよね。

おかげで製作の過程をすべて確認できたのは収穫でした。
図面を描きながらも理解していない作り方が、明確になりました。
しかしながら、完成品を見ることなく帰宅。(撮影には立ち会えないので前日のワークショップでした)こうして振返ってみると、製品自体の打ち合せが余りにも少ない。

でも、素晴らしい完成度。
こんなワークショップは園田椅子製作所でしかできません。
危険だからくれぐれも真似しませんように。

実は、今回この図面を提示頂いたときはピンと来ませんでした。
そのようなときは遠慮がちに「もう少し検討しましょうか」となってしまいますが、今回は何故か「はい、進めましょう」と返答。

今から思うと、自身でもピンと来ない中でも何か引っかかるものが有ったのだと思います。

しかし試作を進めて行くに従い、今回は自分のインスピレーションが良い方に外れていたことを実感。張り上がったときは思わず「おお...」と感嘆。
サイズは試作時のミスで少し小振りになってしまいましたが、これも怪我の功名か、中々良いサイズに。

誤算?が生んだこの商品はまた格別な開発経験となりました。