feliceシリーズのラウンジチェアーです。細い無垢の鉄を自在に操る杉山製作所ならではのディテールが光るデザインとなりました。
一見ベーシックな形状ですが、たくさんのこだわりが詰まった贅沢な座り心地のアイテムです。
サイズ w 566 d745 h 678 h 360
素材  鉄 クッション部分・豚革またはファブリック
仕様  粉体塗装

工業製品の素材としては馴染みの深い鉄を扱い続けて半世紀以上、鉄のプロ集団が作りあげる家具と建材ブランドを構築中です。社長を筆頭に、とにかく考え方が若い。試すということに躊躇しない。そんなチームから生まれるアイテムはどれも硬派でメッセージの強い製品ばかりです。これまで木製家具がメインだった私は、杉山製作所との開発では毎回「新しいことに挑戦」です。暮らしにもっと鉄の道具を。

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feliceシリーズとしてどのようなアイテムを追加展開してゆくのか、杉山製作所では全員参加のワークショップで議論していきます。
各チームから様々な要望が出てきますが、その中で共通のキーワードが生まれました。

・コンパクトでありながら贅沢な座り心地
・ホテルロビーなどで並べても美しい表情

ラウンジチェアーというアイテムにあまり馴染みが無いので、みなが集めた参考画像などをみながらブレの無いようにテーマを共有します。

実は、2016年にも一度ラウンジチェアータイプのプロトタイプを展示会で発表しています。この時も同じテーマでデザインしていますが、来場者からの良い反応は得られず…… 撃沈。
さて、この結果をどのように活かしていくべきか。

次のプランでは構造の特徴はあまり変えず、アームをつけることで一筆書きのようなデザインを強調しfelice chairのデザインとの共通性を明確にしました。方向性は良さそうです。

ここからはつくり勝手の検証です。いつもながら溶接のディテールや量産の精度を意識した試作検証は私自身も毎回刺激を受けます。
アーム部分は鉄のままですと実際に手に触れた時の冷たさが残ります。そこで、一手間かけて革紐を巻き付けることにしました。表情も引き締まり、鉄の素材に優しい手触りを加えることができたと思います。

最後のハードルは、置きクッション。
自社ではできないパーツですが、座り心地を決定する大事な部分。ただクッションを置けば良い訳ではありません。このデザインではウレタンの厚みをおさえた表情を意識したので、薄さを維持しつつ、適度な柔らかさを検証。とくに大事にしたのは見た目の「ふんわり感」です。 

バージョンアップしたデザインでの2017年のお披露目。
反応が心配でしたが、こちらが意図したテーマが素直に伝わり高評価をいただきました。2年越しの開発がやっとゴールです。

丸い棒の無垢鉄を一筆書きの一本のラインでつながるフォルムの鉄家具ラウンジチェアです。細いラインは軽やかな印象を持ち、リビングやひとり時間を過ごすときでも、コンパクトなサイズになっています。

アーム部分は革を巻くことにより手触りもよく、柔らかなクッションはゆったりとくつろぐことができます。製作は鉄の加工に熟知した職人たちによる手作業で、鉄を曲げる、つなぐを組み合わせながら構成されています。

このラウンジチェアは発売前にプロトタイプを発表しましたが、その時はバイヤーさんからの評価がもらえないくらいの状況でした。そこからさらにワークショップで議論を重ねて、プロトタイプ発表から1年後、展示会でリベンジのごとく発表し評価をいただけるまでの製品に仕上げることができました。
堀田 信也
家具の中でも椅子は人の体に触れる道具です。だからこそ、飽きがこないデザイン 座り心地がよいなど求められることが多くあります。
feliceラウンジチェアは、そういった使う人の求めることを形にできた一品といえるチェアです。

作り手の私達は多くの方の暮らしに溶け込んでくれることを楽しみにしています。今までの杉山製作所の製品製作の取り組み方で本当によい椅子がつくれるか、最初は不安と期待がありました。

実際ワークショップを進めていくと、営業側の意見だけでなく製作側の言葉も聞け、それが製品の形や座り心地に変えていけたことは嬉しく感じました。

私の中でも椅子はインテリアの中で、最も売り込むのに難しいアイテムです。 でも、ワークショップでの作り手のアイデアや考えを生で聞けたことでそれぞれの製品の話を買い手側に伝えることが楽しいと思えます。
今、FiTチームが販売台数を伸ばしているのはそういった経緯をお客様に伝えてることも影響していると感じています。

中村 早代