サイズ | w 1200 d 600 h 700(組立て後の完成サイズ) |
仕様 | オイル塗装 |
環境問題だとか、国産材活用だとか、そんな難しい話ではなくて、山と街の関係を自然に伝えれば、無理なく楽しく森の事を考え地域の素材を使う仕組みが整うはずです。
でも、簡単にデザインをしてしまうと長続きしないな、とも考えて少し図面提案を待ってもらいました。なぜ長続きしないのか?というと、多くの場合、出来上がった製品にエネルギーをかけすぎて、販売実績がそのプロジェクトの可否を決めてしまうからです。
「正直、このプロジェクトのアイテムはそんなに簡単に売れないぞ。」これまでの経験値からくるモヤモヤした感じがありました。だから、最初に関わる人がすべて自分の責任で参加できる仕組みを作りたいと考えたのです。長続きしないと成果に繋がらない。
このプロジェクトの特徴は、森林事業者を含む作り手から、実際に使う方々までがすべて当事者として関わる事です。購入者は1泊2日で岐阜の山へ冒険旅行に出かけます。自分の道具が作られる木がどこで生まれ、育ち、加工され、届くのか。そのすべてを体験することで、プロジェクトの一員となるのです。冒険旅行の参加費も、デスク価格に含まれていて、なんと業界のタブー「それぞれの報酬」までオープンにしました。
デスクは3つのパーツで成り立っていて、使い手の成長や変化に対応できるような組み立てが可能です。傷も汚れも、使ってゆくうちにその人の一部となりますから、長く使うほど、自分の道具になってくれるでしょう。
ほんの少し前まで、住む家の木は、近くの山から調達しました。売り手であるショップからはじまった「なぜ」が、上流の林業から下流に住む使い手まで、当事者としてつながるコダマプロジェクトになりました。
コダマプロジェクトには、上流から下流までたくさんのメンバーが関わっています。
販売を担当する下流のインテリアショップ「CONNECT(みずのかぐ)」の水野が発案者として、上流の木工所「然」、集成材工場「山口工業」、林業「山共」とつながり、上流の豊富な針葉樹を使った家具を、下流の人に使ってもらいたいと考え、意を決して村澤さんに相談に行きました。
そんな僕たちに村澤さんが言いました。
「受けてもいいけど、一年は家具の図面は描きませんよ。」
村澤さんがなんとかしてくれると思っていた僕の頭は真っ白になりました。
そこから村澤さんも含めて、全メンバーでとにかく毎月集まることになりました。
はじめは村澤さんに家具のデザインをお願いに行ったつもりでしたが、ミーティングを重ねるほどに、僕たちの話はあちこちに脱線し、遠回りをしました。
「誰のために、何を作ればいいのか。」
「下流の人に、上流の山のことをどうやって伝えるのか。」
「使い手(購入者)をどうやってプロジェクトの当事者にするのか。」
会うたびに「このプロジェクトが必要なのか」を、一心不乱に話しあうようになりました。それぞれの思いを出し合い、お酒もたくさん飲みました。
約一年が過ぎたころ、前代未聞のアイテムのアウトラインが浮上してきました。
上流の針葉樹(杉)でできた学習机を「合宿付き」で販売して、実際に山を体験してもらおう!というものです。もうこのころのミーティングは、メンバーはみんなノリノリです。
そうして村澤さんが、やっと書いてくれた「コダマデスク」のデザインは、一年みんなで話したことを、あたたかく包んでくれる素敵なデザインでした。メンバー全員が一目で大好きになりました。
コダマデスクを購入したご家族が参加する、一泊二日の「コダマの冒険旅行」は東白川村「ふるさと企画」が担当し、「山は、楽しく・かっこよく・おいしい!」プログラムをたくさんの親子が体験してくれています。
そしてコダマプロジェクトは、現在第2段階へ進んでいます。
上流の木を使った「建築」のプロジェクトがはじまり、新しいメンバーが参加してくれています。新商品開発も「コダマベッド」をはじめ、学生の「デザインコンペ」募集もはじまりました。
村澤さんと取り組むこのコダマプロジェクトが、日本の各地に飛び火し、コダマメンバーが増えていけば、日本の山や木材を取り巻く環境変わるかもしれない。が、参加するメンバーの「ワクワク」がプロジェクトの大切な要素であることは間違いありません。