P-chair四方山話股旅放談P chair
ハーフアームのデザインは、日本ならではの展開ではないかと感じています。生活空間に限りがある場でのちょうどいい贅沢。使いやすく、座り心地もいい。意外と欲張りなアイテムなのです。この椅子もハーフアームを主役にしたデザインです。
後脚から繋がるアームが、くるっと方向転換してハーフアームで完結。
その形がアルファベットのPの文字に見えるのでPチェアー。
単純明快!
サイズ w 525 d 540 h 780 sh 420
素材  ブラックチェリー ウォールナット オーク
仕様  オイルフィニッシュ
木蔵
高知と大阪にて展開するライフスタイルショップ。オーナーの門田学さんに待ち伏せされて 「ショップオリジナルをつくりたい」と相談されたのは 、大川の展示会での事でした。
ショップオリジナルはしんどいですよー、という言葉にもまったくひるまず、自ら製産工場を全国で見つけてくる門田さんのエネルギーに巻き込まれて、面白い開発が始まりました。
以来、チェア、ソファ、テーブルと様々な家具の開発を継続しています。

http://www.bokura.co.jp/

 

P-chair 四方山話
気がついたら、木蔵オリジナルの開発もずいぶんと展開してきました。木蔵はショップですが、開発のリスクの持ち方などはメーカーそのもの。おかげで、開発のハードルは高くなる一方です。

木蔵の門田さんとの開発会話は、いたってシンプルです。いくつかスケッチや模型を見せて、「あっ、これやりましょう!」で決まり。
こちらはそんな簡単に決めて良いのかと心配になりますが、そのときすでに門田さんの頭の中には、完成への道筋が意識されているようです。

通常、私が工場ワークショップする際は、当然ながら私が工場への図面説明などをします。ところがここでは、その役目が門田さん。それも、絶妙なポイント説明で工場を巻き込んでくれます。私は完成図面を門田さんに渡して、しばし待つのみ。

そうすると、電話がかかってきます。「ここと、あそこが問題になりそうですけれど、こんな風に解決でそうです。」と。
あんまり私の仕事が無い……(笑)

その鋭い指摘と問題解決をベースに変更図面を書いて、試作を待つのみ。

そうすると、電話がかかってきます。「何月何日頃、試作できます。いきましょう。」と。
やっと出番です。

工場ではラフなモデルが待ち受けてくれます。そこから先は私も本領発揮。現場を巻き込んでがつがつ変更します。
変更すれば、良くなります。でも、そこにはもう一つの問題が。

変更に伴うコストの問題や刃物の製作など。そんなとき、私と工場は門田さんを見つめ、門田さんは「必要なら刃物は作ってください。」と即答。でもコストはシビア!

ちなみに、門田さんの値段設定は天才的です。ほとんど外しません。おかげで、Pチェアーも順調です。一つの成功は、次のハードルを高くします。

次も、その次も、まだまだネタがつきません。

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股旅放談 木蔵 門田学
家具屋としての商品開発

当社は高知県の中でも人口約2万人の小さな町にある工場を持たない小さな家具屋です。以前はメーカーから定番商品を仕入れて販売するという一般的な家具屋でしたが、大型店の出店等もあり、このままではジリ貧になることは想像できていた頃2007年に家具の見本市で偶然出会った村澤さんにオリジナル家具の開発を相談し、翌年に初めてのオリジナルチェアー「kamu」を発売し、イス、テーブル、ソファ、箱物家具などを順次開発し、大阪店オープンを経てあっという間に5年が過ぎた時、原点に戻って椅子の開発をすることとなったのが「Pチェアー」です。

まずは、いつものように村澤さんからのデザイン提案。
今回は3パターンありましたが、私は迷うことなく選択できました。

早速、オリジナル椅子開発当初からお世話になっているシキファニチアさんに製作を依頼、ここには、椅子作りの名人田中さんがいます。田中さんは開発コンセプト、デザイン、工法を理解し、すぐに試作に取りかかってくれました。

デザイナー、製造工場、販売店の役割は明確です。

村澤さんはデザイン担当
田中さんは試作製作を担当
私はスケジュール管理と居酒屋の予約を担当?

つまり、私の作業は完成まではほとんどないのが現実です。各自が役割を順調にこなし田中さんの手により一次試作は怖いくらい早く仕上がりましたここから村澤さんのワークショップが始まります微妙な調整を田中さんに依頼、田中さんは直ぐにハンドワークで修正していく。

村澤さんと田中さんの呼吸は絶妙です。
瞬く間にデザイン変更がされ、見ている私は結構楽しく、最初の試作とは全く別物の椅子となっていきます。この作業を何度か繰り返した結果、心地よく座れ、触れ、立てる椅子が出来上がりました。関係者全員が座り心地を確かめ納得すると村澤さんが気持ちよさそうに笑いました、その時が「Pチェアー」が出来た瞬間です!

ロットも仕上り店頭に展示したところ、お客様の反応は開発コンセプトそのものでした。仕入れた椅子ではなく開発したイスをお客様から評価して頂く、この時ほど家具屋冥利に尽きることはありません。

家具屋としてオリジナル開発は辛いことも多々ありますが、今後も関係工場様に協力していただき、「村澤デザイン」の家具を仲良く休むことなく開発し続けていこうと思います。
股旅放談 木蔵 門田学
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