2004年に発表以来、根強いファンに支えられてきた初代pinoが2019年に生産中止となりました。その後継として生まれたのが、pino lightです。名前の通り初代に比べて細身で軽いのが特徴です。kiki工場にて全ての製造工程を行い完成した、記念すべき1脚です。
サイズ w550 d550 h705 sh420
素材  栃 ブラックチェリー ウォールナット
仕様  オイル仕上げ
「テーブルの端材があるんやけど、何かに使えんかな?」と、見せてもらったものはなんと宝の山。他では見ることのできない、決して端材ではない分厚くて太い無垢の木材がそこにはありました。小物から始まった開発はいつの間にかイスやソファまで発展し、手のひらサイズから空間サイズまで、その展開はとどまるところを知りません。木村健治さんとの掛け合いはまるでまるでジャズのセッション。予測不能のワークショップを続けています。

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初代pinoは、無垢板天板に相性が良いように素材を贅沢に使い、たっぷり&ゆったりがテーマの椅子でした。

開発から15年。テーブル工房kikiにも、お客さんにも変化がありました。天板が薄めでサイズも小振りなモダンなテーブルが欲しい方には、初代pinoは少し大きく重い印象です。たっぷり使ってきた素材も、今だともったいない気もします。事実、素材ロスは今後の大きな問題でした。

これまでkikiでは、椅子は外注先に依頼をしていました。そろそろ全て自社工場で作れないかな? という話題が出てきたとき、ちょうどこの椅子のマイナーチェンジのタイミングだと思いました。
せっかくの定番デザインでしたので、廃番にするのでなく刷新する!
目標はすぐに決まりました。

自社で作るということは、自社の限界を理解し、特長を延ばすということ。単に形状のリニューアルにはなりません。なかなか良い取組みになりそうです。

ビスで固定した最初の試作は思いのほかハードルも低くて、すぐになんとかなりそうな気配がありましたが、そこからが長かった。椅子特有の「角度」や「接合の精度」など、山のような課題を一つひとつ越えてゆく必要がありました。

それでも、裏技&捻り技(多分普通の工場では思いつかないはずです(笑))を駆使して、ゴールが見えてきたときは、本当に嬉しかった。

この椅子がきっかけで、kikiでのものつくりの幅は大きく広がりました。
次の椅子も難しいけど、一緒に頑張りましょう。

kikiには凄いろくろ職人がいます。ろくろの技術を生かした椅子を作ろうとワークショップを重ねてウインザチェアーが形になりつつあった時、不安がよぎりました。原寸模型はいいけど今の設備では作れないし、もし作れたとしても7万円ぐらいになって売れない。このまま進めて良いものか?

ショップには宮崎椅子製作所やシキファニチア他、60脚の食事椅子を展示している中で、本当に欲しい椅子はどんな椅子なのか? 作って競争力のある椅子が出来上がるのか?

考えてみると、こんな新作椅子が欲しいなと思える希望は沢山ありました。 お客さんの求めやすい4万円台の椅子、軽くスリムにゆったりと、曲げ合板+ダイメトロールの座りやすい座面、汚れにくい撥水の布、10脚ロットで作る、納期は2か月、完全自社で作りたい、座面張りもやってみる。

イメージに近いのはpinoで一枚板に合わせて、ゆったり座りやすい椅子だったのですが、部材も太く大きく重かったのでこの椅子をスリムにして座りやすい座面にすると4万円台には無い良い椅子になると妄想が止まりません(この時は作りやすそうと思ってた)。

早速、村さんにも相談し、まず名前が決まりました。
「pino light」(笑)

ビス止めで作る原寸模型は順調に進み、妄想通りのデザインに仕上がり、次はNCを使っての試作ですが、簡単そうに見えた構造体の椅子は四方転び(脚が中心に向かってそれぞれ傾斜していること)で、すべての部材に角度がついて3軸平面NCではどう転んでも出来るイメージがつかめない、困った、何か糸口を見つけようと3D CADで角度を計算してもらったり、工場見学に来た同業者にヒントがないか聞いたりと(笑)、作れないことでデザインを妥協するのは嫌だし、悩みに悩みながらワークショップを重ねても一向に進まないので、スタッフには本当につくるんですか? と言われましたが、半年すぎた頃やっと閃きました。おきて破りの変則裏技で何とか匍匐前進しながら微調整を繰し、フレームの接合部の強度改善や貫の工夫と座面の曲げ合板や座面張り、諦めないでやり続けてやっと出来上がりました。

希望は全て詰め込み、軽い4.3sながら強度試験は12000回クリア!
2年かかったけど、欲しかった競争力のある椅子になりました。

村さんいつもありがとう。やりがいのあるワークショップでした。