秋月木工は箱物メーカーです。これまでもテーブルやベンチは製造してきましたが、椅子の開発はこのデザインが初めてとなります。椅子つくりの独特な作業工程を試行錯誤しながら重ね、幾度もの失敗を乗り越えて完成したのがこの椅子です。
AKI+ブランドにふさわしい、椅子のデビュー作となりました。
サイズ チェア w 514 d 506 h 420 ah 625
  ベンチ w 1320 d 360 h 420
  テーブル w 1800 d 840 h 700 脚間寸法1380
素材  オーク ウォールナット
  カラー塗装タイプ(ピンク アクア チャコール ホワイト)
仕様 オーク ウォールナット オイルフィニッシュ
  カラー塗装タイプ ウレタン塗装
   
 
建築造作も含めて幅広い特注家具を積極的に請け負うことで技術を磨いてきた秋月木工が、2013年、久しぶりの自社製品に取り組みはじめました。
「何でもつくる!」という言葉は、時には個性の無い事にも繋がりますが、秋月さんは創意工夫好きで見えない部分へのこだわりもなかなかのモノです。手間を惜しまず、自分たちらしい家具の開発の試行錯誤が続きます。

http://www.akizuki-mokko.co.jp

椅子つくりは箱つくりとは全く違う考え方が必要です。
木工の仕事としても素材の扱い自体が大きく変わるので、小さな規模のメーカーでは箱と椅子を両立させるのが難しいのが現実。
それでも秋月さんからは随分前から「椅子を開発したい」とリクエストがありました。

私は、その工場で一番得意なことを活かすのがデザインの信条ですので、これまで全く手がけていないものを進めることに躊躇しており随分スタートまでに時間がかかりました。

秋月さんの熱意に押されたのか、あるいは私の気持ちが変わったのか、ちょうど箱物開発が一段落着いたときに椅子の提案をしてみたところ、秋月さんはすぐに取りかかってくれました。
とはいうものの、予想通りハードルは高かったのです。
形を作ることはできても、椅子としての構造的な解決がやはり難しい。

それでも秋月さんは、私が考える以上に工夫を凝らし、度々の試験不合格にもへこたれず細かな調整を繰り返してくれました。

salaという椅子の名前は、徳島の言葉で「新しい」という意味があります。
デザインが新しいのでなく、新しい取組みの最初の成果として、良い名前がつきました。

村澤さんにデザインをお願いして6年になります。当初より椅子を造りたいとお願いしていましたが、今年、箱物メーカーが造れるダイニングチェアを提案していただきました。

平面NCルーターと刃物の形状で図面の線に沿って加工、村澤さんの提案のドミノジョイントにて組立。組み上がったものに座ると 座り心地が良い。まさにおどろきです。図面の精度にビックリしました。
さっそく強度試験にかけたのですが、30回でバラバラとなり、ボンドと圧着に問題があったようです。ボンドと圧着を見直し2次試作、今度は合格ラインを超えました。

見通しがついたところで、ワークショップにて村澤さんのチェック、現物に赤鉛筆でラインが描かれ、加工精度が上がっていき、確実にデザインも良くなっていきます。

試作、強度試験を4度繰り返しsalaが完成しました。まだまだ入口に立っただけなので、引き続き椅子づくりを掘り下げていきます。