TOKI四方山話股旅放談 TOKI
「Lチェア」という新しいコンセプトで開発を進めている椅子を中心としたシリーズ。これまでのリビング・ダイニングという考えを見直して、様々な生活のシーンに寄り添えるような展開を意識したデザインです。それぞれのアイテムに担当スタッフの工夫が活かされている、イトウらしいシリーズになりました。
サイズ Lチェア w 600 d 730 h 750 sh 380
  2Lチェア w 1250 d 730 h 750 sh 380
  LDテーブル w 1500 d 800 h 640
素材 オーク   
仕様 ウレタン塗装6933
  
     
     
  
「今日も日田で家具をつくっています」を合い言葉に、地元の産業としての歴史と背景を大事にした製品開発をおこなっているブランドです。
販売店のオリジナルアイテムの製造をお願いしたことがきっかけで、開発のお手伝いが始まりました。
開発は担当者全員が参加するスタイルで進めるので、議論が明確で解決も早いのが特徴。
イトウらしさを求めて、まだまだ模索をしています。

 

 

 

 

TOKI 四方山話
Lチェアーという考え方は、開発の討論の中で生まれてきました。いままで「販売店の売り場構成」とも言えるリビングアイテムとかダイニングアイテムなどのカテゴライズで製品を開発することが多くて、どうもそれだけではしっくりこない事も多いのが本音。
旅館の縁側にあるような椅子とテーブルはなかなかの趣だけど、リビングでもないしダイニングでもない。でも、そんな曖昧な気持ちよさも面白いはずです。

そこで、Lチェアー。
「Large(ゆったり)」 「Light(かるさ)」「Lounge(まったり)」「Luxury(ぜいたく)」のLから始まるキーワードをテーマにした椅子の開発です。
どこに置くか、ではなくて、どう過ごすか。
使い方を限定しないで、使い手の変化(生活スタイルや家族構成)にじっくり寄り添うシリーズを目指しました。

コンセプトの合意も早く、最初の提案もすんなり通りました。これは、着地も早いぞ。と、最初は思いましたよ。それが、こんなに難産とは。。。

まずは、大前提の椅子の座り心地から意見が飛び交います。一体化の背と座の方法から置きクッションへの変更。そして、立体的に体を包み込む形状と、できるだけシンプルに収めたい木部との取り合い。
担当者は大変だったと思います。

展示会で発表すると、今度は営業とお客さんの考えがフィードバックされます。
そして、また手直し。
手直しが好きな私は大歓迎なのですが、(それでは困るという意見も多々ありますが…)一つ作るたびに遠目ではわからない変更を地道に進めてくれたスタッフに感謝です。

そして、実はまだ進化中なんです。
一つ解決すると、関連のある事柄がふと見えてきて…。
でも、開発は「これで完璧」がありません。販売を開始したって、治すべきところは調整する。そして、それをよしとする姿勢こそが、開発に一番大事な要素だと思うのです。

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股旅放談 株式会社イトウ 若杉 圭
マタタビ トキ開発ストーリー

入社7 カ月目、現場での研修を終え商品開発室に配属され約一カ月。まだ右も左もわからない新人の僕にとっては、どんな些細な仕事でも一大事でした。

そんな日々奔走の中、初の担当商品を受け持つ事に。それまで間接的にしか商品開発に関わって来なかったので、「やっと土俵に立てるぞ! 」しかも学生の頃からインテリア関連の情報誌等でよく目にし、家具業界でも著名であった「村澤さんの新商品に携わることができる! 」その両方がとても新鮮で仕事のプレッシャーを押し退けるほど嬉しく思いました。

そして迎えた村澤さんとのワークショップは、商品試作を見て淡々と議論するというような涼しげな物とは違い、村澤さんやイトウの開発スタッフ皆で走り回り汗を流すとてもアクティブな物で、即興で合板にスケッチ→ カット→ 検証なんてことも頻繁で、「ワークショップって肉体労働なんだ! 」と思い知るものでもありました。

そしてワークショップが終わると具体化してくる克服すべき課題と再試作への段取りは、初の舞台に浮かれていた自分が哀れに思えるほど大変な作業の連続でした。

リビングチェアでもダイニングチェアでもない「新しい価値を持ったチェアを創ろう! 」というとてもコンセプチュアルな所からスタートしたトキの開発。試作→ 検討→ 試作→ 検討→ 試作が何度も繰り返され着実にステップアップしていきましたが、トキの開発ははっきりとした暮らしのビジョンが最初から見えていた開発ではなく、試作を重ねることで暮らし方を模索していくような、内側と外側を同時に固めていく開発でしたので必然的に長いスケジュールでの開発となりました。

さらにトキの開発には、創業65年を超えるイトウの家具一筋で培った「張り技術と木工技術の融合」が商品の一つのテーマとして開発が進められており、木部フレーム/クッション部共に技術的な挑戦も含まれていました。

正直新人の自分にはとても荷の重い案件で、夢の中でまでトキの図面を書くほどに追い込まれ「寝てもトキ、覚めてもトキ」そんなトキ漬けの日々を過ごしていました。ですがそんな思いをしたからこそ、強い思い入れがあります。

計7回の試作と約一年の歳月をかけてこだわり抜いたトキの開発。

その中でもっとも注力した点がサイジングです。10〜20mm の寸法調整を繰り返し、「大きすぎず、小さすぎない」日本の暮らしに本当に丁度いいサイズ感を目指しました。

“ 刻” と書いてトキ。村澤さんが「この椅子で過ごす時間をイメージして」名付けられました。

しっかりと体にフィットするゆるやかな曲線や圧迫感のないハーフアームなど、トキには優しい時間を過ごせる工夫がたくさん詰まっています。

まだまだ若輩ですがトキと一蓮托生のつもりでがんばっていきます!
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